共創フォーラム報告

【NEW!】09年度第2回共創フォーラム「共創で見えてくる、新たなCSRの可能性」(その1)
2009年12月16日 10:15

09年度第2回共創フォーラム 概要 開会あいさつ

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フォーラム概要

日時
2009年10月21日(水) 15:30-18:20
場所
横浜市開港記念会館 講堂

20091021日(水) 於:横浜市開港記念会館 講堂

1CSRの最近の動向と事例発表 15301640

~ 開会の挨拶 ~ 横浜市 共創推進事業本部 本部長 土井一成

講 演

現在のCSR活動の概況及び最近の動向について

株式会社 日本総合研究所 ESGリサーチセンター長  足達英一郎 氏

事例紹介1

「日本IBM社の社会貢献活動」

日本IBM 株式会社 社会貢献 部長  川嶋輝彦 氏

事例紹介2

新たな環境行動への挑戦「ヨコハマモビリティ"プロジェクトZERO"」&日産CSRマネジメントウェイとブルーシチズンシップ

日産自動車 株式会社 電子技術開発本部 ITITS開発部 エキスパートリーダー  二見徹 氏

日産自動車 株式会社 グローバルブランドコミュニケーション&CSR部 課長  菅慶太郎 氏

事例紹介3

「ソーシャルプリンティングカンパニー」の本業を通じたCSRの意義について

株式会社 大川印刷 代表取締役社長  大川哲郎 氏

2.市長挨拶 16401655) 横浜市長 林文子

(休憩15)

3.パネルディスカッション 「共創で見えてくる、新たなCSRの可能性」17101820

パネリスト

日本アイ・ビー・エム株式会社 社会貢献 部長  川嶋輝彦 氏

横浜市 教育委員会事務局 総務部長  内田茂

日産自動車 株式会社 電子技術開発本部 ITITS開発部 エキスパートリーダー  二見徹 氏

日産自動車 株式会社 グローバルブランドコミュニケーション&CSR部 課長  菅慶太郎 氏

横浜市 地球温暖化対策事業本部 本部長  信時正人

株式会社 大川印刷 代表取締役社長  大川哲郎 氏

横浜市 共創推進事業本部 本部長 土井一成

コーディネーター

横浜市 共創推進事業本部 担当部長 小林賢次郎

株式会社 日本総合研究所 ESGリサーチセンター長  足達英一郎 氏

4.交流・意見交換会18302000  BankART

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横浜市共創推進事業本部

本部長  土井一成

  • 【開催挨拶】
~官と民で新しい価値の創出を目指す~

共創推進事業本部は「官から民へ」を超え、官と民が共に新しい価値を創出しようという目的で昨年4月に発足し1年半が経ちました。これまで共創フォーラムや共創フロントへの提案などいろいろご協力頂きまして、今のところ順調に進んできていると考えております。今日はもう少しその活動の輪を広げようということで、CSR・企業の社会的貢献をテーマに「共創で見えてくる、新たなCSRの可能性」と題しましたフォーラムを開催致します。時間の最後まで有意義な会議となりますよう、ぜひともご協力をお願いしたいと思います。

講演:現在のCSR活動の概況及び最近の動向について

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株式会社 日本総合研究所
ESGリサーチセンター長
足達英一郎 氏

~ 法令遵守から「攻めのCSR」へ ~

CSRという言葉は、日本語では「企業の社会的責任」と訳すことが通例になっています。企業は営利を目的とする団体ですので、製品やサービスを通じて社会に経済的価値を提供する、これが第一の責任ということになります。しかしながら昨今、経済状況が厳しくなる中で、利益追求に偏りすぎて様々な問題を起こしていたりもします。例えば法令違反、消費者の存在の軽視、あるいは従業員を大切にしない、環境を悪化させる等々です。こういった問題が起こらないようにするのもひとつの社会的責任のあり方だろうと思います。
日本には、CSRという言葉が2002~2003年頃から登場してきました。2003年にはCSRを専門とする部署を作る日本の企業が続々と現れ始め、CSRの基本方針を作る、担当役員を決める、専門部署を設置するなどの取り組みのピークは2005年にありました。2009年になりますと、ほとんど大方の企業について、取り組みが完了したというような形になっています。
日本のCSRはコンプライアンス(法令遵守)という取り組みから始まったということが言えます。経済環境が厳しくなる中で、しかし利益追求に走るとさまざまな企業不祥事が起こることになりますので、まずその企業不祥事をしっかり防止するということがスタート地点でした。現在はそこからいろいろな取り組みが進んでいることも見て取れます。2006年に経済同友会がまとめた「価値創造型CSR」というレポートによりますと、CSRは法令・規制・規範・慣習をきちんと守ることに加え、社会のニーズに応え、先取りする経営の方向に進んできたとあり、これを経済同友会は「攻めのCSR」と呼んでいます。世の中の社会的な課題を解決に近づけていく、その部分に企業の本業そのものを近づけていくことから価値をつくり、競争力を生み出していく方向に向かわなければならないという考え方が現在はひとつのコンセンサスになっています。
もうひとつ、攻めのCSRで申し上げたいのは、「健全な企業活動は健全な社会でのみ可能」ということです。これはアメリカの経営学者、マイケル・ポーターがよく使っている言葉ですが、例えば知的所有権が全く守られない国では、ソフトウェアの会社が大変優秀で画期的なソフトをつくって販売しようとしても、まともなビジネスができないということになります。日本でも、例えば女性がいかに働きやすく、戦力として経済活動に関わっていけるようにするか、これも健全な社会をつくる大きなテーマです。そこに企業ができることを考えていくことも、攻めのCSRということになるわけです。
私は官民連携によるCSRのアプローチというのが重要になってくるだろうと考えています。例えば少子高齢化・育児の問題で、託児所の設置を民間と行政がバラバラに取り組むのではなく、どこに作るかを両者が連携をとって考える。あるいは子どもを預けたい人が多くなる時期とそうでない時期で、両者で保育士の融通をとっていく。もしくは鉄道会社が子どもを乗せて朝の通勤時間でも通勤しやすい車両をつくり、その路線に行政がきちんと保育所を管理するというのも、ひとつのCSRの連携だと思います。こういった知恵が今後はもっと必要だろうと感じておりまして、本日のフォーラムでもそうしたヒントがたくさん聞ければ大変心強いと思っております。

足達英一郎 氏 株式会社 日本総合研究所 ESGリサーチセンター長
1986年一橋大学経済学部卒業。1989年まで株式会社三菱総合研究所勤務、産業調査を担当。1989年住友連系各社により設立された株式会社日本総合研究所の設立に参加、現在、同社主席研究員。CSRの観点からの企業調査を担当し、住友信託銀行、住信アセットマネジメント、大和証券投資信託委託などに情報を提供。このほか省庁から環境金融やCSRに関する調査研究を受託しプロジェクトマネージャーを務める。主な著書に、「CSR経営とSRI」(共著 2004年、きんざい)、「SRI社会的責任投資入門」(共著 2003年、日本経済新聞社)、これまで、社団法人経済同友会社会的責任経営推進委員会ワーキング・グループメンバー、厚生労働省「労働に関するCSR推進研究会」委員に就任。2009年4月までISO/SR規格化作業部会日本国エクスパート。

CSR事例紹介 日本IBM 日産自動車1

~日本IBM・ ICTを活用した教育分野でのCSRとは ~

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日本IBM 株式会社
社会貢献 部長
川嶋輝彦 氏

私どもの定義するCSRは、あくまでも利益を追求するという企業の本来のミッションと、それに付随してさまざまなステークホルダー、例えば企業の社員やその家族、株主、パートナー企業や地域社会などとの関係性の維持をうまくバランスをとってやっていかなければならないと考えています。利益追求に走りすぎると、こうしたステークホルダーからの信頼を失うことになり、結果、企業のサステナビリティがなくなるということになります。
我々は「コーポレートシチズンシップ」という概念でCSRを考えています。日本語では「企業市民」と訳されます。企業人である前に市民であり、社会の構成要素の一員であるということです。それから企業のさまざまな活動の担い手、例えば環境を司る部門、あるいは企業のパートナーさんから部品や資材の調達を行うサプライチェーンのグループ、社員の福利厚生を考えるグループ、人事施策を考えるグループなど、各構成部門がそれぞれのステークホルダーを持っていますので、そこで企業価値を生み出していくことになります。
私どもは元々外資系の会社で、親会社のIBMコーポレーションは1911年に創業してから100年近い歴史を持つ企業です。創業時より法令遵守や人事施策の多様化を進め、1940年代の女性取締役の採用や、公民権運動が盛んな1960年代に営業社員として黒人を採用するなど、いわゆる進歩的・革新的な経営を行っていました。その基本にはコーポレートシチズンシップという考え方があったということになります。
1980年代、我々の社会貢献活動は主にお金や資材を慈善事業、あるいは公共的な事業に対して寄付・寄贈するといった活動が中心でした。90年代になると若干方向性が変わり、情報技術を活用して社会の問題を解決するという形にシフトして参りました。さらに2000年代には、いわゆるイノベーションを通じて社会を良くしていく、あるいはITに通信技術を加えたICTを活用して、地球をスリムに、インテリジェントにしていくという取り組みを行っています。こうした部分に我々の専門性を活用して、社会の諸問題を解決していこうというのが考え方の柱となっています。
その中で、社会的な課題とは何かと言いますと、最近ではCO2の削減や生物多様性、森林保全といった環境問題もありますが、我々は教育、その中でも特に初等・中等教育について、技術を活用しての支援を行っています。基本的には社員のボランティアパワーを活用し、学校現場の教育のお手伝いをするという形です。
例えば、子どもにパソコンが身近にある環境に慣れてもらうことが趣旨であるキッズスマートという幼児教育支援プロジェクトや、市の教育委員会との連携で、ロボットプラミングを使って子どもたちにエンジニアのキャリアの面白みを知ってもらうお手伝い、その他にも環境教育や英語教育、理科教育などを市内の小中学校で提供しています。
私どもの教育の柱は英語やそれに基づく国際教育、環境、それから科学や理科離れに対してのキャリアディベロップメント、この3つを柱にしております。ゆとり教育の見直しの中で、2011年から新指導要領のもと、学校はキャリアや英語というものに力を入れていかなければならないという状況で、そのあたりに対して我々は力を発揮できると考えています。また、その上で、これからも横浜市と協力して教育の分野でお手伝いできればと思っています。

川嶋 輝彦 日本IBM 株式会社 社会貢献 部長
平成元年4月、日本IBM入社。平成2年より対外広報(PR)に従事。平成13年から2年間、社団法人経済同友会出向、平成15年、同会代表幹事に就任した会長(当時)の広報サポートに従事。平成20年4月より現職。




~日産自動車1・新たな環境行動への挑戦「ヨコハマモビリティ“プロジェクトZERO”」 ~

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日産自動車 株式会社
電子技術開発本部 IT&ITS開発部 IT&ITS技術企画グループ
エキスパートリーダー
二見徹 氏

~ CO2ゼロ、事故ゼロで横浜を世界のモデルに ~
横浜市は地球温暖化対策のCO-DO30を進めており、非常にしっかりした枠組みがあります。昨年からは環境モデル都市にも選定されたということで、これに基づいて日産ができることを横浜市と一緒にやっていきます。
具体的なテーマとしては「ヨコハマ モビリティ “プロジェクトZERO”」というもので、「ZERO」に込められた思いは、まずは「エミッションゼロ」、CO2を排出しない交通社会をつくるということ、もう一つは「事故ゼロ」の社会をつくるということです。
我々は既に2006年からスカイプロジェクトという名称で、市民2千人以上に参加して頂いて車の情報を吸い上げる仕組みに取り組んでいます。一般モニタの方々やタクシー合わせて1万台相当の車両で実際の走行情報をまとめたものによりますと、渋滞が激しくCO2の発生も多い部分は幹線と幹線が重なる所となっています。横浜中心部は特にひどいわけですが、それ以外にも鶴見や上大岡、東戸塚、原宿、瀬谷、新横浜周辺などの状況が悪くなっていることが分かっています。
ハイブリッドカーや電気自動車もありますが、交通全体の中で占める割合は圧倒的にガソリン車が多いです。ガソリン車の特性として、実は時速80kmくらいまではスピードを上げたほうが燃費は良くなります。ですから燃費の良い速度で運転するというのが非常に大切です。しかし横浜市内は平均車速が遅い状況にあり、実用燃費がなかなか上がっていません。ひとつの課題は平均車速をいかに上げるか、そしてもうひとつは定速走行特性を生かしたエコ運転をいかに取り入れるかということになります。
自動車会社が直接貢献できる有効な3つの方策は、エコ運転、横浜市全体の平均車速を上げることによる渋滞解消、それから根本的な対策としてCO2を出さないエミッションゼロの車を普及させることです。これを先ほどのCO-DO30というプログラムにあてはめ、横浜市と協議を重ねて立ち上げたのが「ヨコハマ モビリティ “プロジェクトZERO”」という都市コンセプトとなります。
一番大事なのは、ハードウェアではなく、人の考え方や生活習慣、行動を変えていくということです。そのベースになるものとして、エコ運転を本気で普及させたいと考えています。一般の家庭から出るCO2のうち3割くらいが車によるものなのですが、仮にエコ運転を普及させて燃料節約志向というのを作っていくと、水や電気、ガスなどのあらゆる無駄が気になってきます。最終的には家庭から出るエネルギー全体に関するエコ感度を上げていくことにつながります。
では自発的にエコ運転をするためにはどうしたら良いか。ひとつは可視化して燃費が具体的に分かるようにし、ゲーム感覚で他人と比べる、改善のアドバイスを受けるまたは与えることです。これを継続させていくことが重要です。コンセプトとしては、今乗っている車を買い替えなくても運転の仕方でエコカーになるということを申し上げたいと思います。もうひとつはエコ運転の診断です。スキルを身につけなければいけないということで、6月に赤レンガ倉庫で行ったエコカーワールドではエコ運転チェックができる機器を用いた体験会なども実施しました。それから渋滞の改善のために選択肢を与えるということもポイントです。一番良いのは、出かける前に今はどの交通手段を使うのが一番かしこいのかを知ることであり、そのために車でも電車のように時刻表を作るということを考えています。例えば今出発するのと、30分後に出発するのとで、到着時間が同じであるということが分かれば、混雑している時間帯には動かないで、30分遅れて出ましょうということになるわけです。このシステムを来年から利用できる形にしようと考えています。それからゼロカーボンの取り組みとして、日産は電気自動車を来年から本格的に販売しようとしています。既に三菱やスバルが出していますが、日産は唯一、量産を表明している会社です。ただし普及のためには、横浜市といろいろ協力をする必要があります。購入時の優遇やシェアリングのシステム、あるいは地域によってはEVしか売れないというような取り組みも必要であろうと考えています。こういった取り組みを、横浜を発信基地にして、世界のモデルとして締結している30くらいの地域に広めていきたいと思っています。

参考: 「E1 Grand Prix」

二見 徹 日産自動車 株式会社
電子技術開発本部 IT&ITS開発部 IT&ITS技術企画グループ エキスパートリーダー
1981年 東京大学 工学部電子工学科卒業、1981年 日産自動車株式会社入社 中央研究所にて電載電子システム研究を担当、1987~1990年 電子設計部にて車載電子システム開発を担当 1991年 ITシステムの企画・開発を担当 2005年 IT&ITS開発部にて企画・開発を担当 現在 IT&ITSシステム及びEV-ITシステムの企画、開発を担当。受賞暦:1999年 SAE(米自動車技術学会)最優秀論文賞受賞

CSR事例紹介 日産自動車2 大川印刷

~日産自動車2・新たな環境行動への挑戦「CSRマネジメントウェイとブルーシチズンシップ」~

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日産自動車 株式会社
グローバルブランドコミュニケーション&CSR部
課長
菅慶太郎 氏

~青い地球を守り、人や社会と共生する企業市民へ ~
日産のCSRのきっかけは2003年の春、CEOのカルロス・ゴーンが「サステナビリティレポートを発行せよ」と指示したのが始まりです。翌年に情報開示レポートを発行し、2005年の春に専任組織を作りました。その次の年から3年間の中期計画でCSRの定義付け、具体化、社外に伝えるというステップを進めていきました。初年度は日産のCSRの定義付けということで、方針をつくって管理組織を設置しました。次年度は機能的に具体化するということで、スコアカードというものを開発しました。その翌年、スコアカードの一部を外部に公開しました。
 そのような発展プロセスの中で、どんな具体的なマネジメントの仕方なのかといいますと、そもそもCSRを次のように捉えています。法令に対応する、その上で法令以上への対応を行う。そして経済環境社会への配慮を行って、さまざまなステークホルダーに価値を提供していくということです。
 CSRはかつてのフィランソロフィーのようなものと違って、自社の事業活動が生み出しているかもしれない各地の社会的課題、あるいは影響を受けるかもしれない社会の変化をできるだけ早く捉えて、自社の事業活動の変革を図る、それによって社会のベネフィットと自社の発展の方向性を合わせていくというものだと考えています。実務的には、CSRを社内的にはプロセスマネジメント(経営)ツールと捉えています。短期収益と長期収益のバランスはどうか、自社の成長と社会の成長のバランスは合っているか、提供価値のステークホルダー間のバランスが株主に偏重しすぎていないか。こういった部分が分かるツールであるということです。そして社外から見れば、逆に評価機関などが我々を測るための新たな企業評価ツールと捉えています。
 そういった考え方を踏まえて出来上がったCSRマネジメントウェイの骨格ですが、格付け・専門機関等を通じて入ってくる社会の変化を社内に入れ、日産の成長・発展ベクトルに合っているかを見ながら取り込み推進する。その結果の進展を社会に伝える。すると専門機関がまた評価しますので、それをまた取り込み、改善していくというサイクルで運営しています。そのような考え方で進めているCSRを日産なりにブランド化したもの、会社としての行動指針が「ブルーシチズンシップ」です。そこで言おうとしているのが「青い地球を守り、人や社会と共生する企業市民でありたい」という思いであり、サステナビリティ、コミュニティ、パートナーシップ、アクセシビリティという4つの指針に沿って、そのような社会に対するベネフィットを生み出していきたいという決意です。
 少し位置付けということでお話しますと、まず「人々の生活を豊かにしたい」というビジョンがあって、そして「さまざまなステークホルダーに価値を提供したい」というミッションがあります。いずれもまだ大きく曖昧なものでありますが、それを具体化する日産の行動指針がブルーシチズンシップということです。それは日産グリーンプログラムという環境戦略やセーフティーシールドという安全戦略、それからそれらを構成するゼロエミッションや、「ヨコハマ モビリティ “プロジェクトZERO”」の話もここにつながってきます。こういったプログラムやアクティビティを活用してしっかりメインで伝えて、ブルーシチズンシップで大きな日産が目指している方向性を伝えていく、そんな位置付けとなっています。

参考:日産ブルーシチズンシップ

菅 慶太郎 日産自動車 株式会社
グローバルブランドコミュニケーション&CSR部 グローバルブランドコミュニケーションズグループ インタラクティブ・ウェブサイト・コミュニケーションズグループ (兼)企画室 グローバル環境企画オフィス 課長
1968年(昭和43年)6月生 1991年(平成3年)、早稲田大学教育学部卒、日産自動車㈱入社。産業機械事業部にて、フォークリフトの国内外マーケティングや商品企画を担当。1997年に社内公募制度を活用し、広報部へ異動。新型GT-Rなど2年間の新車発表の企画業務を経て、1999年から企業広報を担当。テレビ、新聞、経済誌等のメディアへの対応に携る。2003年よりCSR立ち上げのプロジェクトも兼務。2005年、経営会議での承認を経て、広報部門内にCSRグループを設立。以後、CSRステアリングコミッティ事務局長をつとめ、欧米のCSR格付機関を歴訪の上、PDCAサイクルを軸とする日産独自のCSRマネジメントウェイを確立。2009年からは、CSRでの経験を踏まえつつ、ブランドコミュニケーション、及び、グローバルウエブサイト戦略のマネジメントを担う。著書:「日産のCSR戦略」(2008年12月25日発行)




~大川印刷「ソーシャルプリンティングカンパニー」の本業を通じたCSRの意義について~

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株式会社 大川印刷
代表取締役社長
大川哲郎 氏

~ CSRのためのCSRではなく、社会に必要とされる人と企業を目指す取り組みとして ~
私どもの会社は1881年に創業致しまして、今年で128周年目を迎えます。今日は本業を通じてCSRでどんなことをやっているかをお話しするのですが、ひとつめとしてエコラインという考え方を説明致します。これは営業活動から製造、納品までいかに環境に配慮した製品づくりをするのかということです。
例えば営業活動には2004年からカーシェアリングを活用し、地元の企業と何台かの車をシェアする形に取り組んでいます。また、再生紙に代わる環境配慮としまして、違法伐採が行われていないこと、伐採後の植林が為されることを第三者機関が認証しているFSC森林認証紙を積極的に使用推進しております。
そして通常の大豆インキとは違う石油系溶剤0%のインキを使うことによって、さまざまな効果があると考えて活動しております。一般的な大豆インキと呼ばれるものには、まだ石油系溶剤が20%以上入っています。私どもが平成17年からスタンダードに使っているインキは石油系溶剤を0%にカットしています。これは、化石燃料である石油の消費を大幅にカットできる取り組みであるとともに、石油系溶剤の中には大気汚染やシックハウス症候群の原因となるVOCと呼ばれる揮発性有機化合物が入っていますので、インキだけでも特に環境に配慮したものを使うことで本業を通じた環境貢献ができるわけです。
そしてもうひとつ、今、印刷業界が積極的に働きかけている取り組みを紹介したいと思います。日本人男性の約20人に1人、女性では約500人に1人の割合になりますが、日本国内には320万人以上の色覚障がい者がいると言われております。そんな方々にとって、色の使い方に配慮が足りないと、伝わるべき情報が伝わらないことがあります。また、女性の4人に1人、男性も23%の方が65歳以上の高齢者の時代に入り、白内白内障の症状も40代から始まって80歳や90歳ではほぼ100%の方が白内障です。そういった方のために、国内の企業が協力して読みやすさに配慮した書体を開発しました。実際に白内障や弱視、外国人の方にもユーザー試験をして開発したものです。配色やデザイン、書体、セパレーションなどを工夫することで、高齢者や弱視、視覚障がいの方にも読みやすいよう配慮していくことができるのです。
この業界のみならずですが、カーボンフットプリントというものが出てきております。即ち、製品が作られるまでにどれだけのCO2が排出されたかということですが、今はカーボンオフセットからカーボンマイナスにしようという取り組みも進んでいます。国内に植林することや排出権取引へのアプローチをすることによってCO2をマイナスさせるということです。
お客様である企業のCSRを形にということで、カレンダーの下部に思いを込めて頂いた「セパレートエコカレンダー」や環境を回復する仕組みを使った「森がよろこぶカレンダー」、横浜市と取り組んだ「防災情報入りエコバッグ」、化学物質過敏症の方が万が一倒れられた時に、自分の症状を知らせるためのカード型の印刷物などを作って参りました。
本業を通じたCSRの意義ということで、私どもは小さい活動が中心で、難しいことはあまりできていないかもしれません。しかしながら「CSRのためのCSRはやめよう」と考えております。私どもはCSRを「社会に必要とされる人と企業を目指す取り組み」と簡単に訳しています。その意義としては、身の丈に合わせつつ、ちょっと背伸びして成長する、新たなコストをかけずに、新たな出会いを生む、そして自社の認知度が向上する。さらに忘れてはならないのが、社員が誇りを持って働けるようになるという、社員満足度の向上なのだと思います。

参考:NPO法人メディアユニバーサルデザイン協会

大川 哲郎 株式会社大川印刷 代表取締役社長
1967年横浜生まれ。1996年から2007年まで(社)横浜青年会議所に所属、理事、常任理事、監事、副理事長など歴任。「Y150市民参加プラットホーム推進委員会」委員、NPO法人「横浜スタンダード推進協議会」副理事長、同「メディア・ユニバーサル・デザイン協会」理事を務める他、(財)日本ユニセフ協会神奈川県支部評議委員、「横浜のイベントをエコにするネットワーク」副会長などを担当。印刷を通じた社会貢献を実践する「ソーシャルプリンティングカンパニー」として、環境やユニバーサルデザイン、CSR(企業の社会的責任)といった分野を中心に活動。2005年「第8回グリーン購入大賞」大賞受賞。

09年度第2回共創フォーラム 林文子市長スピーチ

~コミュニケーションから公共に新たな価値を生み出す共創を~

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横浜市長
林 文子

 横浜市の共創推進事業本部は昨年4月に発足致しました。文字通り「共に創る」という考え方に基づいて、行政だけでは対応が難しい社会的課題を民間と行政で共有して対等に対話し、それぞれの資源やノウハウを有効に活用しながら解決して新しい事業機会を創りだすことで、横浜経済の活性化につなげていきます。また、新たな公共的サービスを市民の皆さまに提供していくことを目的としています。
これまでの1年半で、数多くの民間の方々との交流をしまして、窓口である共創フロントには既に100件以上のご提案を頂いており、その中から新しい公共的価値を持ったプロジェクトをいくつも生み出してきています。
 これから私が優先的に取り組んでいく子育て支援、福祉や環境対策についても、地域社会や企業と行政が連携することによって、さまざまなアイデアや知恵を結集して取り組んでいくことが必要です。そのためにも、第一にコミュニケーションから共創の取り組みを進めていくことが大切ではないかと思います。
共創推進事業本部はこのような取り組みを広げていくことで、皆さんのアイデアを新たな価値を持つ公民連携事業につなげていくお手伝いをさせて頂きます。今日のフォーラムはCSRをテーマにしておりますが、一口にCSRと言っても企業によって取り組みはさまざまです。横浜市では共創という考え方を基本に、企業が市民・行政と連携しながらCSRの取り組みを進めていくことが、業績向上や働く方の満足度の向上といった価値にもつながっていくと考えております。
 横浜市民の皆さんの中には、多様な知識や経験を持った素晴らしい人材が多数いらっしゃるほか、さまざまな市民団体やNPOが活動されており、市内には30ほどの大学もあります。ぜひ、企業の皆さんも、市民の皆さんと大学・行政とさまざまなネットワークをつくって頂きまして、市民の皆さんのため、地域のため、共創による新しい公共をともに創って頂きたいと切にお願い申し上げます。




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